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2017年9月7日木曜日

クリエイティブになるヒント

Creative Thinking and Leading the Creative Organizationという授業について書いてみる。

クリエイティブ・シンキングと聞くと、コピーライターや建築家など、何か特別な才能を持つ人に縁があることの様に聞こえる。

一方で、テクノロジーの進化に従って、これまで人間が担ってきた仕事の大部分が、機械によって代替可能な社会になりつつある。

そんな中、人間が今後とも価値を発揮していくことができるのは、代替が難しい、いわゆるクリエイティブな仕事になっていくと言われている。

IBMが2010年に1500名以上のCEO(エリアは、米欧アジアが略均等)に対してとったアンケート調査によると、リーダーシップを発揮する上で重要な要素は?という質問に対して、上位3つの答えは、CreativityIntegrityGlobal Thinkingであり、中でもCreativityが最も重要という回答だった。 

この授業では、Creativityは日々の習慣によって育む事ができるという前提に立ち、それを実践する為のフレームワークを学ぶ。

Creativity Frameworkは以下の7項目からなる。

Question, Unplug, Association, Teamwork, Improvise, Observation, Network

以下にて例として、AssociationObservationについて記載してみる。

Association:
多くの革新的なアイディアは、元々あったアイディアや概念の組み合わせることによって生まれている。しかし、一般的に、誰しも思考の癖というものがあり、自分の中で当たり前と思っていることに縛られ、発想の枠を拡げる事が出来ないという問題がある。

この問題を解決する方法は2つある。

1つは数多く試行錯誤を繰り返すこと。

2つ目は、思考の癖を矯正するトレーニングを日々取り入れること。

授業の中でいくつか紹介されたトレーニングの中から1つについて簡単に説明する。

それは、「あらゆる前提を逆さにして考えてみる」というトレーニングだ。

例えば、飛行機に乗るというイベントを題材とする。具体的な手順は以下の通り。

  1. まず飛行機に乗るという行為に伴う、一連のプロセスを思い浮かべ書き出してみる。(チケットカウンターへ行く、荷物を預ける、手荷物検査、搭乗口へ移動、機内食を食べる、到着後、荷物受け取る、など
  2. 書き出したそれぞれのプロセスに関する当たり前の前提を書き足す。例えば、チケットカウンターであれば、並ぶ、チケットを発券するなど。荷物の受け取りであれば、荷物が出てくるまで待つ、手違いで届かないこともあるなど。
  3. 次に、その前提を逆転させてみる。例えば、荷物の受け取りであれば、待つ必要が無い、必ず届くなど。
  4. 最後に、その逆転させた前提を実現させる為には、どんなサービスが必要か考える。

 Observation:
これはAssociationとも通じるが、何かを観察する際においても人間はどうしても自身の思考のフィルターを通して「目の前に起こっていることはこういうものだ」という無意識の解釈を行っている。

この積み重ねによって、自分の中に固定概念というものが出来上がってしまう。ゲストスピーカーとして来ていた文化人類学の研究者が話していたこの問題に対する解決策は、意外にもシンプルで「こまめにメモをとること」だった。

その場合の留意点は、事実だけを忠実にメモに取ることだそうだ。小さなノートを持ち歩き、目の前に起こっている現象のみをメモに取っておく。それを1週間ごと、1ヶ月ごとに見返すと、新しい発想が生まれてくるという。

などなど。


日頃の生活の中に習慣として取り入れてみれば、見える景色が少しずつ変わってくるはずだ。

2016年3月9日水曜日

Corporate Social Responsibility / 経営の本質

CSRと聞くと、ボランティアとかを連想する人も多いかもしれない。

かく言う自分も、御多分に洩れず、そう思っていた。

しかし、このCorporate Social Responsibilityの講義を受けてからは、CSRというのは、実はもっと話としては深くて経営者としての本質に迫るものではないかと思うようになった。

この講義では、成長を追求する過程でステークホルダーからクエッションマークを突きつけられた企業のケースを中心に学ぶ。

背景理論としては、Simon ZadekThe Path to Corporate Responsibilityという論文を使用。その中で紹介されているThe Five Stage of Organizational LearningThe Four Stage of Issue Maturityというフレームワークを活用してそれぞれのケースを検証。

ケースは、GMリコール問題、ジョンソンエンドジョンソンタイレノール混入事件、IKEA Child labor問題、エンロン事件(オリンパス事件との対比)、NGOとの関わり方(Shell Oil油田開発、Monsanto遺伝子組み換え食品)、H&Mバングラディシュ工場火災等。

それぞれのケースにおいて共通している事は、難局に直面した時に、企業はステークホルダーとの対話を通じて、自身の存在意義を自問自答し、長期的かつ広範な目線で解決策を立てていくこと。また、その過程では必ずキーパーソンとなるリーダーがいること。

リーダーとして求められることは以下の通りと理解した。
  • オープンな組織を作ること:ネガティブな情報ほど組織内に滞留する。まずはリーダーからオープンな姿勢を示し、組織を活性化させていく。
  • 高い倫理観を持つこと:事業を広く展開していくと、様々なコンフリクトを抱える事になる。どのステークホルダーに対しても常に公平、公正を貫き疑念を抱かせない努力が肝要(すぐに解決出来ない場合であっても、いかにコンフリクトを解消していくかのビジョンを示せるかが重要)。
  • 多くの可能性を予期する力:顧客だけを見る、株主だけを見るというのでは不十分。社会の変化や自社の事業展開の範囲に応じて、いつ誰が、自社のステークホルダーになるかということも決まっていない。自社のビジネスが影響を及ぼす範囲とその影響度合いを把握し、それぞれのステークホルダーがどのような印象を持つか(反応を示すか)について多くの可能性を予期出来なければならない。

勿論、これは一朝一夕に身につくものではない。重要なことは、日頃から高い意識を持って、こうした視点を踏まえて考える癖をつけて、行動に繋げていくことだ。また、考える対象は、自分の職務、自分の会社、競合他社、他業界、何を材料としてもいいと思う。

多様な価値を受容することの出来る想像力と長期的かつ大局的な見地からの判断力・行動力が求められている。